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DESPAIR OF MARIA

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discography

 

楽曲「DESPAIR OF MARIA」 




直訳すると『マリアの絶望』

この物語は、「Angel's crying」の姉妹的な作品で

きっかけは作詞作曲を手がけたDの幼少期にさかのぼる。


子供の頃に見た映画かドラマか、テレビの特番か?それとも夢か?

まさか前世の記憶?…、てことはないとは思うが

頭の中にこういったシーンがずっとあった。みたいですよ。

もしかして神からの啓示?


まぁでも、こういう現実ってたしかにあるんですよ。

日本は地球上で人類史上最悪の破壊兵器「原子爆弾」の被害を受けた唯一の国。

それゆえにその時代に生き残った我々の先輩方は

精神が崩壊するほどの痛み、悲しみ、苦しみ、恐怖、絶望、を味わってきた。


しかし、それを乗り越えてきたのもまた事実。

そのおかげか、今の日本は平和で幸せで、物が溢れるほどあるから

そんな恐ろしい国がまだこの地球上にあるなんて

知らない人も、気にも留めない人もいるだろうね。

帰る家があって、ごはんが食べられて、温かいお風呂に入れて、

温かいふとんで寝ることが出来る。


今の日本ではそんな当たり前のことが、

夢のまた夢だと言う、そんな国のお話しです。





家は爆撃で破壊され、両親は爆撃や銃弾を受けて死亡。

街中は危険すぎる。

親を失った子供たちは山や森へ避難するが

そこは幼い子供たちが生きていける環境ではなかった。


食べ物もなく恐ろしい野生動物も存在し、そこら中に罠や地雷がある。

一緒に逃げてきた仲間たちが一人、また一人と減っていく。

1時間後、いや、5分後でさえ自分が生きているのかも分からない

そんな恐ろしい状況のなか子供たちは

となり街の外れの小さな教会にたどり着いた。


そこにいたシスター・マリアもまた、同じく戦争で親を失って

この教会に救われた一人だった。


マリアは献身的に働いた。自分を救ってくれた恩師のため

自分と同じく、親を失ったかわいそうな子供たちのために。



街は暴力の都。

テロや民族同士の内戦、貧困と暴動、平和などかけらもない。
そこら中に転がっている死体。

マリアの心は崩壊寸前だった。


そんなマリアの心の支えは、子供たちと歌を歌うことだった。

しかし、そんな小さな幸せですら情け容赦なく壊される運命のときがきた。


いつものように聖堂を掃除していたマリアの元に

子供たちが泣きながら息を切らせてやってきた。


「お姉ちゃん!  ネロが! ネロが!」








マリアは走った。


そこは教会からそう遠くない原っぱ。

いつだったか、子供たちと散歩をしたときに見た

マリアが「綺麗なお花だね」、と言った場所だった。


畦道の柵の向こう側。有刺鉄線に取り付けられた看板の

「 DANGER!! 」の意味が、ネロにはまだ分からなかったのだろう。















ネロの下半身はなかった。


辺りの花は吹き飛び大きな穴が開いて、真っ赤な血が広がっていた。

ネロはかろうじて目を開けていた。


もうどうにもならないことはすぐに分かった。


マリアはネロを抱きかかえた。

ネロが何か言ってる。聞き取れないほどの小さな声で。

だけど、


「…お姉ちゃん、……おめでとう…」


そう言ったのは分かった。





そして、ネロはすぐに動かなくなった。






「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」


マリアの心はとうとう壊れてしまった。








つづく